9月5日、私情協の教育改革ICT戦略大会(市ヶ谷アルカディア)に参加してきました。
教員のICT活用の目的
教員がICTを活用し、教育の作業負担を軽減する。というのが、大目的にあったと思います。この大目的を達成するために、どのようなICTツールを使い、どのように活用したのか、その結果、どういう効果があったかを何人かのスピーカーが発表していました。
ICTを活用するというのはどういうことなのか
ICTは単にツール(道具)であり、ICTを教育に利用することを目的にすることにはならない。以下のような教育は、ICTを使わせること自体が目的になっており、ICT教育における達成目標とすることや、目的とすることは不適切と思われる。
- 学生のPCスキル(スマホではなく)の向上を目指し、PCでないと難しい課題や、ソフトウェアを使った作業をさせる。
- 教員のe-learning利用を向上させるために、利用を教員の成績に反映する。
ICTはツールであるので、ツールを使うために何か考えるのは順序が逆。使うと便利だというのが分かった人から使い始める。PCが便利だと思えば、PCを使う。学生は、スマホが便利だから、スマホを使っているだけである。PCでもe-learningでもやると便利だというように分かるように仕向けるのがいい。
Google Classroomの事例
Google Classroomとは?
G suiteに入っていたり、gmailを持っていれば、Google Classroomが使える。
授業ごとにフォルダのようなもの(クラスと呼ぶ)を作成し、学生が授業を履修するなら、そこに登録(学生を招待)する。クラスには、StreamとPeopleがある。
Stream:チャットのようなもの。学生は投稿やコメントの機能を使用して、教師やクラスメートと意見、情報、質問などを共有する。投稿やコメントはクラスの全員に表示され、教師だけは削除された投稿やコメントも表示できる。
People:学生のこと、クラスのメンバー、関係者のこと。他にも教員、生徒、保護者の情報を管理する。メンバーの削除、メンバーへのメールが可能。Streamの停止も可能。
クラスの右端の情報というリンクは、授業概要を書く、シラバスのようなもの。
google formと連動しているため、そちらを使ってクイズやアンケートをすることができる。クイズはgoogle formのリンクを掲載しておく。QRコードをいちいち作らなくてよいのも作業削減になる。動画のリンクを載せておくのも便利。
クイズの使い方には、授業の初めに学生にさせることで学生の知識レベルをはかったり、苦手が分かる。これをすぐに授業にフィードバックすると、学生の理解しやすい授業となる。
Assignment:課題の提出。課題提出の日時を設定し、Wordなどの課題を出させる事が出来る。提出すれば、提出完了のメッセージが出るため、提出できなかったということは分かる。学生が課題を提出しない言い訳はできない。
Google Classroomの注意点
スマホの機械トラブル
スマホのトラブルが、他学生と不公平感を生むときがある。自分のスマホだけがネットワーク障害があるとなると、うまくテストが受けられなかったりする。
カンニングの問題
テスト中は教室の後ろに立って、スマホの画面を見て、カンニングの対策をするが、それでも万全とはいえない。
Google利用の大学は、使ってみることをオススメする。利用を促進するために、ワークショップ等を行い、他の教員にも広めていくのが良いだろう。
Googleドライブの活用事例
Googleドライブの利用の前提
Googleドライブは少人数間でのファイル共有ツールである。これを大学の教育に活用する理由は3つある。
- 出来るだけ楽をして教育効果を得る
- 無料で何とかする。大学はお金がない
- 大学のICT環境変化、ネット社会化と就職前に学生はICTを使えるようになっておく必要がある時代
moodleの問題点
moodleについては、教員は使う前の作業があるのでやりたくない。教員の事前設定が大変。出来るだけ楽をして教育するために、面倒な作業が発生する。これが教員のmoodle利用の障壁となっている。
Googleドライブの利用テクニック
授業フォルダの中に、日付別にフォルダを作る。
学生がファイルを放り込む。例えばプレゼンは、USBで共有ではなく、ドライブ上のファイルをクリックして実行。
コメントファイル(スプレッドシート)を作って一斉にコメントを書かせる。コメント欄は、学生番号等を先に振っておき、同じセルにならないようにする。同じセルだと上書きになってしまう。
グループ共同作業は、LINEとgoogleドライブで済む
学生はLINEで作業方針等を決め、実際の作業はGoogleドライブ上のファイルをみんなして編集することで行う。鍋をグループでつつき合うようなイメージである。よって、グループ作業は、スマホひとつで完成させられる。
Googleドライブの注意点
- 他人がファイルを誤って消してしまう。権限設定も出来るが手間取る。
- あまり大人数での授業には向かない。
- せいぜい20人くらい。pptxはgoogleスライドだとレイアウトがずれたり、少しもたつく。数式エディタがない。
- 課題の提出はGoogle classroomを使った方が良いだろう。
ゼミや少人数クラスでは、とくに使い勝手がよい。コストがかからない。学生も利用にインストール等は不要で操作も容易である。また、教職員間での資料共有という利用でも大変便利である。
moodleを活用したe-ラーニング活用の効果と展開
moodleでやっていること
1.配布資料のWebによる提供
(1)予習の効果
(2)障害のある学生への配慮(加工して持ってくる人のため)
(3)欠席者への対応
2.提出課題、小テストの管理
(1)公平な課題提出の管理(出した、出さないの良いわけはなくなる)
(2)ちょっとしたコメントのフィードバックができ、学生の内容理解の助けになる
3.学生コメントへのフィードバック
(1)いままでは授業の最初の20分でフィードバックした。口頭なので記録に残らなかった。
(2)学生による評点の確認
(3)教員も学生も、いつでもどこでもやれる
4.その他
(1)アンケート調査
(2)動画教材による学習
moodle活用により、授業を途中でリタイアする学生が減るという効果があった。学習者も、自分の理解度を知ることが出来る。学習者は、他の人のレポートが見てみたいとか、他学生との比較をしたがる。それの共有に向いている。
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